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Do you believe in the magic of make-believe ?

メッセージ

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もう掛け値無しに大傑作。自分が原作『あなたの人生の物語』の大ファンであるということを差し引いても、あの傑作小説を良くぞここまで見事に映画化したものだという感じ!中盤で傑作だという確信を得てしまい鳥肌を震わせながら観ていました。抑制の効いた構成・美しく緊張感のある映像・そして見事という他ない美術(異星人の文字があんな形式だなんて誰が想像しただろう!)。もう冒頭の子供とのシーン・そして湖の畔りのルイーズの自宅あたりで僕はノックアウトされてました。演出も素晴らしい。初めて異星船に乗り込む際、突然重力が反転する。(うろ覚えだけど)原作には無いこんな演出をそっと差し込むだけで、これまでの常識が全く通じない異世界に飛び込むのだということを予感させる。原作小説に比べるとかなり大味というか、様々なエンタメ要素が追加されており、特に中国なんかの描き方は如何にもハリウッドらしくて鼻白むところが無くはないものの、結果として最後に大きなカタルシスを作ることが出来ているので、こういった改変自体は映画向きの良い判断だったと思う。

さてこの作品──『あなたの人生の物語』が素晴らしいところは「異星人とのファーストコンタクト」「言語により規定された逐次的認識を乗り越え、人類が新たな認識の様式を獲得すること」という全人類的な「大きな物語」の中に、極めて個人的な「愛の物語」がどこまでも深く描かれるところだと思う。特に映画では、物語が盛り上がり周囲の緊張が増して行くほど、主人公は逆に自己の内面へとより深く静かに潜り込んでいくところが印象的。

そして最後に示されるルイーズの決意。かように大掛かりな SF 的舞台の上で、それでも彼女は愛を選ぶ。その決意・圧倒的なまでの「生の肯定」が、この作品を傑作たらしめているところだと僕は思う。個人的には最後の締めに関しては原作小説が余りにも秀逸だったと感じるけども(映画版のラストはイアンの発言を受けて主人公が返答するという演出は不要だったと思うんだよね)、それでもこの映画自体が非常に素晴らしい出来だったことは疑いの余地がない。今年度 No.1 の素晴らしい映画でした!

2017/06/11

半期評価の時期。随分色々なことをやったし自分なりに頑張ったつもりではあるけど、あまり結果は出なかったなぁ。自分の立場だとベストを尽くす、或いは同僚と比べて圧倒的なパフォーマンスを出す、というのは当然に求められることで、それ以上に「結果を出し続ける」ことが責任だと思う。それなのに結果が伴わなかったのはひとえに自分の能力不足と言うしかない。

振り返ると本質的な課題は「正しい問題にフォーカス出来ていたか」ということに尽きる。チームをつくる・プロダクトを企画する・営業する・コードを書く・仕組みをつくる、どれも大事なことだけど、こういうことを目的化してしまっていた辺りが自分の器量を表してしまっている気がする。半年先までを見据えたビジョンを作ってチームを引っ張り結果を出すということは出来るけど、3 年先を見据えた行動を起こせていない。連続的な成長に満足してしまって非連続な成長をするための努力が出来ていない。改めて振り返ると、こういうところが経営陣との差なのかなぁと思った。自分にとっては大事な気付き。

来期はもっと視点を高めて「非連続な事業の成長」を成し遂げたい。少なくともそのための布石ぐらいは打てるようになりたい。

超 AI 時代の生存戦略

超AI時代の生存戦略

超AI時代の生存戦略

先日読んだ NewsPicks のこの記事 が非常に面白かったので購入してみたのだが、どうもこちらの寄稿記事ほどの圧倒的な迫力を感じられなかった。これは NewsPicks の編集者が優秀だったのかもしれない。書かれていることはそれほど違わないのかもしれないのだけど、前述の記事の方が密度が高くオススメ。

世界の果ての夏

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

結構前に読んだけど印象は薄い。何を描きたい作品なのか、今ひとつ焦点が定まっていないように感じた。ボーイミーツガールの淡い青春の情景なのか、世界の終末なのか、近未来を背景にした群像劇なのか。焦点が定まらなかった結果として不要な設定や描写が多すぎるように感じる。視点も様々に切り替わるが無駄に分かりづらくしているだけに思えた。

2017/05/06

将来に憂いが無くなるのは良いことだ。それが果たしてロクな価値を産むのかはともかく、曖昧でも夢を見られるだけで少しホッとしたり、やるべきことにフォーカスして集中出来るものである。僕は比較的ネガティブな性分なので、日本の将来にも悲観的だし、仕事に関しても明るい見通しがあるとは考えられない。およそ平均的なサラリーマンと比べると多少のお金は頂いている方だとは思うが、それとて所詮は一般のサラリーマンの域を超えるものではない。東京で普通に生活をしていれば手元に大した金額が残るわけでもなく、あと 10 年経った時に仕事を続けていられる確信も、会社が存続しているという保証も、同じ会社で働き続けているという確証も無い。例えば妻が子供が欲しいと言ったとして、果たして子供をきちんと育てられるのか心配になってしまう。そんな僕にとっては、僅かばかりでも SO を頂けるのは有難い。「このまま頑張れば何かしらのリターンが得られる」となれば、やれ転職だ、やれこのスキルを身につけなければならぬ、と言ったノイズを意識しなくても良くなる。会社の目標と自分の目標が一致しやすくなり、会社の目標を達成することにフォーカス出来る。こうなると浮ついた最新技術などを追いかけるより、もっとファンダメンタルな知識を得たくなってくる。教養/コンピュータサイエンス/数学/英語といった基礎知識。学生時代の僕は勉強が大嫌いだったが、今にして思えば勿体無いことをしたなぁと考える今日この頃。

ユートロニカのこちら側

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

第 3 回ハヤカワ SF コンテスト受賞作の連作短編。著者は新人でインタビューによると 3 つ目に書き上げた小説だということだが、これがなかなか面白かった。まず文章表現がこなれており読みやすい。また題材の選び方も良い。現代技術の延長に訪れるかもしれない監視社会/安全社会と、情報銀行といった概念は、現代に生きる人々のリアルな肌感を反映していると思う。登場するガジェットはありきたりなものかもしれないが、細かなところまで上手く整理されており納得感のある世界観を描出できている。この点では新人離れしている印象を受けた。一方で課題になってくるのはカタルシスの弱さ。これは作品の中に描かれる「闘争」が余りにも希薄に感じるからだろう。後半に出てくる登場人物たちの闘争は如何にも杓子定規で表面的なものに見えた。前半の作品はやや冗長だったのでこれを削り、最後の章に一つ盛り上げどころがあるとずっと違った印象の作品になっただろうと思う。

2017/04/18

最近営業企画が得意な人と仕事をすることが多いのだけど、彼と話していて自分に足りないものに気付く。

自分自身は割と業務の幅が広くて、本丸のエンジニアリングからプロダクトの企画提案・運用・マネジメントなどもやっているのだけど、未だに契約関連のような法務周りはさっぱり。まぁそれは良いとして、一番彼にあって自分にないなと感じたのは「ワクワク感」だと思った。自分もエンジニアとしては比較的プロダクトのことを考えて提案できる方だと思っているのだけど、まだ何か足りない気がしていたのだが、どうもその理由は「ワクワク感」にあるのではないかと思ったのが昨日。エンジニアやデザイナーというのはどうしても理詰めで考えてしまうのだけど、彼などはそういう論理的な細かい面はすっ飛ばして、とにかく「自分がどれだけワクワク出来るか」「自分も顧客(ユーザー)も楽しいと思えるか」を優先しているように見える。

プロダクトデザイナーなどと話していると「凄いなぁ」と思う反面、何か不足しているものを感じていたのだけど、それもこの「ワクワク感」な気がする。この感覚は社長と話しているときにもあるもので、社長と冒頭の彼に共通していて他の人にないものは正にこの「ワクワク感」だと思った。ユーザーの声を聞くのは大事だが、ユーザーの声を聞くよりも、まず自分がワクワク出来るものかを考えないといけない。